「東京の家賃が高い」とはよく言いますが、14年も住んでいると、その変化を肌で実感します。2011年に「高いな」と思いながら契約したアパートが、2025年には「むしろ安い部屋」になっていた――これが東京の賃貸のリアルです。
私は18歳から賃貸暮らしを続け、賃貸歴は35年になります。新築ワンルームマンション投資の苦い失敗を経てFP3級を取得し、住まいのお金と正面から向き合うようになりました。そして上京してからの14年間、私は管理会社からの家賃値上げ通知をすべて断り、入居時の家賃のまま住み続けてきました。これは借地借家法で守られた、借りる側の正当な権利です。
この記事では、これから東京に引っ越す方、東京で賃貸を探して家賃の高さに驚いている方に向けて、東京14年の家賃のリアルと、知っておくと得をする知識を、実体験をもとにお伝えします。
2025年、東京の1Rで家賃10万円超えは当たり前
ここ1〜2年で、東京の賃料は急激に上がりました。ワンルームでも家賃10万円以上の物件が、都内には数多くあります。少し前なら「10万円出せば広めの1Kに住める」感覚でしたが、今や10万円でも選択肢はかなり狭まります。
14年住んだ部屋の家賃の変遷|入居70,800円が、退去後は83,000円に
2011年に上京して借りたアパートに、私は2025年まで14年間住み続けました。当時のスペックはこうです。
- 構造:木造2階建てアパート(2007年築・入居時で築4年)
- 間取り:1R・24㎡(トイレ/洗面/風呂は独立タイプ)
- 設備:浴室乾燥機・温水洗浄便座・エアコン完備
- 向き・階:2階の角部屋・南向き
- 立地:最寄り駅まで徒歩4分/23区の城東エリア(超都心ではない場所)
- 入居時の家賃:家賃+共益費で 70,800円
入居時から「このサイズでこの家賃は高いな」と思いつつ、条件が良かったので契約しました。
私の家賃は14年間、70,800円のまま1円も動きませんでした。でも同じアパートの階下の家賃は、確実に上がっていました。14年の間に階下の住人は4人ほど入れ替わり、空き部屋になるたびに、私は賃貸サイトで募集家賃をチェックしていました。最初の入れ替わりは2014年頃で、募集家賃は74,000円ほど。私の入居時から約3,000円アップです。その後も入れ替わるたびに数千円ずつ、新規募集の家賃は階段状に上がっていきました。築年数は当然進んでいるのに、です。
そして決定打は、退去を申請したあとにやってきました。何気なく賃貸サイトを見ていたら、私が14年住んだ部屋がそのまま新規募集されているのを見つけたのです。家賃は共益費込み約83,000円。入居時より約12,000円も高い金額でした。
通常、建物は古くなれば価値が下がり、家賃も下がるのが一般的です。ところが東京では、その逆のことが起きていたのです。
地価と周辺相場の上昇が、建物の老朽化による値下がりを上回るスピードで進んでいる――これが、いまの東京の現実です。築年数が古くなっても家賃が下がらない、むしろ上がることもある。14年間同じ部屋に住んだからこそ、その異常さを実感しました。
裏を返せば、長く住み続けるほど、入居時の家賃が“相対的に割安”になっていくということでもあります。私の70,800円は、14年後には同等物件の相場(8〜9万円台)よりずっと低い水準になっていました。古さや手狭さとのトレードオフはありますが、「値上げを断って長く住む」ことは、東京では立派な節約戦略になり得るのです。
2011年「赤坂で築4年24㎡が12万円」の衝撃
もうひとつ、私の中で強く記憶に残っているエピソードがあります。
2011年12月、上京の物件を探していたとき、不動産屋の担当者にこう言われました。
「お客さんが今選んだこの部屋(築4年・24㎡・墨田区立花)と同じスペックなら、赤坂で12万円しますよ」
当時の私はこの数字にひっくり返るほど驚きました。「東京って本当に家賃が高い場所なんだな…」と心の中でつぶやいたことを今でも覚えています。
それから14年。2026年の今、赤坂で築4年・24㎡の物件を12万円で借りることは100%できません。同条件の部屋を探すと、おそらく15〜18万円のレンジに入っているはずです。
つまり、当時「東京は高すぎる」と私が驚いた金額が、今ではむしろ安い水準になってしまった。これが14年の現実です。
なぜ東京の家賃は下がらないのか|FP3級の視点
「古くなれば安くなる」がなぜ東京では通用しないのか。FP3級として整理すると、主に次の要因が重なっています。
- 地価・再開発の波:再開発や人口の都心集中で、エリアそのものの価値が上がり続けている
- 建築費・人件費の高騰:新築の家賃が上がると、周辺の中古物件の相場も引っ張られる
- 供給を上回る需要:単身世帯の増加で、ワンルーム・1Kの需要が供給を上回りやすい
- 金利・投資マネーの流入:賃貸用物件への投資が活発で、利回り確保のため家賃が高止まりしやすい
- 円安と海外マネー:ドル換算で見ると東京の不動産が割安に映り、海外の投資マネーが流入しやすい構造が続いている
- ワンルーム投資の活発化:投資家向けに供給される新築ワンルームが、結果として相場全体を押し上げる側面もある
こうした構造的な要因がある限り、「待っていれば家賃が下がる」とは考えにくいのが東京です。だからこそ、借りる側は今ある制度(値上げを断る権利など)を正しく使い、住むエリアと家賃を自分で選ぶことが、家計を守る現実的な手段になります。
東京23区のエリア別 家賃相場と、選び方のコツ
東京の家賃は、「同じ1Rでもエリアで5万円以上の差がある」と言っても大げさではありません。どのエリアを選ぶかで、毎月の家賃は大きく変わります。
| エリア区分 | 代表的な区 | 1R/1Kの家賃目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 都心・山手線内側 | 千代田・港・渋谷・新宿 | 12〜18万円 | 利便性は最高、家賃も最高水準 |
| 城南エリア | 世田谷・目黒・品川・大田 | 9〜14万円 | 住環境が良く人気が高い |
| 城北・城西エリア | 杉並・中野・練馬・板橋 | 7〜11万円 | 都心へのアクセスも比較的良い |
| 城東エリア | 江戸川・葛飾・足立・墨田 | 6〜9万円 | 23区内では比較的リーズナブル |
私が14年住んでいたのは、23区でも家賃が抑えめな城東エリアでした。入居時(2011年)は家賃+共益費で70,800円。同等の物件でも、今の相場なら8〜9万円はするでしょう。「通勤・通学ルート上で、もっとも家賃の低いエリア」を探すのが、東京でコストを抑えるコツです。
23区の外に出るという選択肢|西東京・埼玉・千葉で同条件10万円差
東京の家賃高騰は、特に23区内で顕著です。一方で、23区を一歩出るとガラッと事情が変わります。
私が引っ越し先を探していた2025年秋、参考までに以下のエリアでも条件検索をしてみました(築浅・1DK・35㎡前後・RC造)。
| エリア | 同条件の家賃帯 |
|---|---|
| 23区内(私が選んだエリア) | 12〜14万円 |
| 西東京(多摩エリア) | 9〜10万円台 |
| 千葉(船橋・市川など) | 8〜9万円台 |
| 埼玉(川口・さいたまなど) | 8〜9万円台 |
同じ「築浅・35㎡・1DK・RC造」という条件で、23区内と周辺県で10万円近い差になることもあります。年間で見れば30万円以上の差。
通勤事情や生活圏次第ですが、もし「東京で生活する必要があるが家賃が厳しい」という方は、通勤可能な周辺県を視野に入れると現実的な選択肢が広がります。特に2025年現在、リモートワーク併用が定着している職種なら、23区にこだわる必然性は以前ほど強くないかもしれません。
家賃の値上げは断れる|借地借家法と、私が電話で断った話
東京の家賃がこれだけ上がると、住んでいる部屋にも「値上げのお知らせ」が届くことがあります。不動産会社によっては「賃料改定のお願い」という、丁寧な名前で届くこともあります。でも、慌てて応じる必要はありません。
借りる側は借地借家法で守られていて、貸主が値上げを「通知」しても、借主が合意しなければ値上げは成立しません。「断ったら追い出されるのでは」と不安になるかもしれませんが、正当な理由のない値上げを断ったことを理由に退去させられることはありません。実際に私は、14年間トラブルなく住み続けられました。
14年のあいだに、値上げの打診は何度かありました。そのたびに私は、電話で「合意しません」とはっきり伝えました。法律の裏づけがあると分かっていれば、感情的にならず、淡々と伝えられます。相手も法的に強く主張できないため、割とすんなり受け入れてもらえました。こうして14年間、入居時の家賃のまま住み続けたのです。
正直に言えば、FP3級を取る前の私は「大家さんに値上げと言われたら払うしかない」と思い込んでいました。知っているか、知らないか。たったそれだけで、14年で何十万円もの差が生まれます。住まいのお金は、知識がそのまま家計に効いてくる分野なのだと、身をもって学びました。
ただし、断り方には手順とコツがあります。書面での丁寧な伝え方の文例や、貸主が調停を申し立てた場合の対応など、値上げを断る具体的な手順は、FP3級として詳しくまとめた専用記事があります。値上げ通知が来て困っている方は、こちらを読んでください 👇
👉 家賃の値上げは拒否できる|借地借家法で「応じない」を選んだFP3級の実体験
それでも、私が引っ越しを決めた理由
相場より安い家賃で住めていましたが、14年も経つと、手狭さと古さが目立ってきました。新しい環境に踏み出そうと決めたのは、2025年の秋のこと。いざ物件を探し始めると、東京の賃料高騰を、今度は「借りる側」として痛感することになります。
14年ぶりの物件探しは、想像以上にハードでした。条件の整理から内見、契約までの流れは、別記事にまとめています。
なお、東京の引っ越し繁忙期(2〜3月)を避けた秋〜冬は、競争が落ち着き、家賃や仲介手数料の交渉余地が広がる時期です。時期を選ぶことも、コストを抑える立派な戦略になります。
東京の家賃が高いと感じたら|家具家電付き・低家賃という選択肢
一般的に「家賃は手取りの3分の1まで」と言われますが、東京で23区内に住むと、この比率は超えやすくなります。50代の単身者には、保険や医療費、将来への備えなど、若い頃よりじわじわ増える固定費もあります。家賃は「払える」水準ではなく、払い続けても生活防衛資金が削られない水準に設定することが大事です。
「東京の家賃高騰についていけない」「初期費用が用意できない」と感じる方には、家具家電付き・敷金礼金ゼロで全国の物件から選べるサービスもあります。
東京23区にこだわらず、埼玉・千葉・神奈川の通勤圏まで視野を広げると、同じ家賃で広い部屋に住めることも多いです。「東京で1Rに10万円払うか、埼玉で1LDKに6万円払うか」という選択肢を持っておくと、家賃高騰の時代を乗り切りやすくなります。
まとめ|東京の賃貸は「知識」で支払う額が変わる
東京14年の暮らしで分かったことを、最後に整理します。
- 家賃相場:ここ1〜2年で急騰。ワンルームでも10万円超えが当たり前に
- 築年数と家賃:東京は古くなっても家賃が下がらない(むしろ上がることも)
- 値上げ通知:借地借家法で断れる。合意しなければ値上げは成立しない
- エリア選び:通勤ルート上で家賃の低いエリアを選ぶとコストを抑えられる
- 23区の外という選択肢:西東京・埼玉・千葉なら同条件で10万円近く下がることも。年間では30万円以上の差になる
- 物件探し:複数サービスを並行利用し、良い物件は早めに動く
東京の賃貸は、「知識があるかどうか」で支払う金額が大きく変わります。これから上京する方も、すでに住んでいる方も、自分の住まいのお金を、ぜひ一度見直してみてください。賃貸歴35年・FP3級の私の実体験が、少しでも参考になればうれしいです。
