「不動産投資は節税」は嘘?確定申告5年分の還付額で検証|新築ワンルームマンションで530万損したFP3級

不動産投資の節税は嘘か確定申告5年分の還付額を検証する新築ワンルームマンション投資 番外編のアイキャッチ(FP3級・50代の不動産リアルノート) ワンルーム投資の失敗記録
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「節税で、毎年いくら戻ってきたんですか?」――この問いに、はっきり数字で答えている記事を、私はネットでほとんど見たことがありません。

「不動産投資は節税になる」。私はこの言葉を信じて新築ワンルームマンションを2件買い、結果的に約530万円を失いました(vol.1)。いまはFP3級として、その「節税」が本当だったのかを検証しています。vol.5では、4年あまりの保有で節税できたのは「ざっくり約90万円」だったと書きました。でも、その90万円が1年ごとにいくらだったのか、までは、お見せしていませんでした。

今回は、その約束の回収です。令和2年から令和6年まで、5回の確定申告で、実際に通帳へ戻ってきた(あるいは出ていった)所得税の金額を、1年分ずつ全部公開します。きれいに整えた数字ではなく、税理士に申告してもらった現実の金額そのままです。

先に、この記事の結論を言ってしまいます。5年分の確定申告を並べて、いまの私がはっきり言えるのは――「節税がしたいだけなら、何千万円もの借金をしてマンションを買う必要なんて、まったく無かった。ふるさと納税やiDeCoで十分だった」ということです。なぜそう言い切れるのか、これから5年分の実額で、順番にお見せします。

ひとつ予告しておくと、この5年間は、きれいな右肩上がりでも、右肩下がりでもありませんでした。たくさん戻る年もあれば、まさかの「納める年」もありました。なぜそんなにバラついたのか――そこにこそ、「節税」という言葉のいちばん見えにくい部分が隠れています。

※この記事は投資シリーズの番外編です。節税の仕組みそのものはvol.5、売却時の税金はvol.7にくわしく書きました。はじめての方は、失敗の全体像を書いたvol.1から読むと流れがつかめます。

まず、確定申告5年分の還付額を1枚の表で

ごちゃごちゃ説明する前に、結論の数字を先に出します。これが、私の5年分の確定申告の「答え」です。

その年の年収(額面・約)確定申告の結果(所得税)
令和2年(2020・初年度/9か月)約708万円122,415円 戻ってきた
令和3年(2021)約691万円65,697円 戻ってきた
令和4年(2022)約671万円15,600円 納めた(!)
令和5年(2023)約796万円221,545円 戻ってきた
令和6年(2024・売却年)約889万円204,760円 戻ってきた
5年合計差し引き 598,817円 戻ってきた

この所得税の還付に、住民税の軽減(おおよその推定で約30万円)を足すと、vol.5でお伝えした「約90万円」になります。

さて、この表を、じっと見てください。何か、おかしくありませんか。

初年度に12万円戻ってきて、翌年はその半分近くまで減る。3年目にいたっては、戻るどころか、1万5,600円を「納めて」います。それなのに4年目・5年目は、また20万円台まで跳ね上がっている。

下がって、マイナスになって、また上がる。まるでジグザグです。「節税」と聞いて多くの人が想像する、毎年コツコツ同じくらい戻ってくるイメージとは、まるで違いました。

「年々しぼむ」はずが、現実はジグザグだった

じつは私自身、vol.5では「節税効果は買った直後がいちばん大きく、年々小さくなっていく」と書きました。減価償却のうち設備部分は、最初の数年で一気に経費になるので、理屈の上では、そうなるはずなんです。

ところが、実際に通帳へ戻ってきた金額を並べてみると、そのきれいな下り坂には、なっていませんでした。ここは正直に告白します。

たとえば令和5年は、22万円も戻ってきて、5年でいちばん大きい還付です。理屈どおりなら、後半は還付が少なくなっていくはずなのに、逆に過去最大級でした。なぜ、こんなことが起きるのか。

答えは、戻ってくる金額が「不動産の節税」だけで決まっているわけではないからです。次の章が、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

還付は「ぜんぶ混ざった合計」でしかない

5年分の実額を並べて、私がやっとはっきり気づいたのは、これでした。

確定申告で戻ってくる(あるいは納める)金額は、その年の全部の所得と控除を合算して、最後に精算した「合計の結果」です。中身には、不動産の赤字だけでなく、

  • その年の給与(年収が上がれば税率も上がり、戻る額も変わります)
  • ふるさと納税などの寄付金控除
  • その年にかかった医療費による医療費控除
  • 不動産以外の投資の損益

といった、いろいろなものが混ざっています。たとえば私は、毎年の医療費控除も欠かさず申告しています。医療費は年によって増えたり減ったりしますから、それだけでも戻ってくる額は動きます。令和5年に還付が大きかったのも、ちょうどその年は給与が上がって税率が高くなっていたことが効いていました。

つまり、「不動産の節税だけで、ちょうど○○円戻った」という純粋な数字は、確定申告書のどこを探しても、単体では出てこないのです。全部がいっしょくたになった「差し引きの結果」しか、私たちの手元には残りません。

ここに、業者の試算書のからくりがあります。業者が見せてくる「年○万円の節税」は、ほかの条件を全部きれいに固定して、不動産の効果だけをきれいに取り出した、いわば実験室の数字です。でも現実の確定申告には、毎年ちがう年収、ちがう控除、ちがう他の所得が混ざり込んできます。だから、試算書どおりには、まずなりません。私の5年間が、その何よりの証拠でした。

まさかの「納める年」がやってきた

なかでも私が驚いたのが、令和4年です。表をもう一度見てください。この年だけ、戻ってくるどころか、1万5,600円を「納めて」います。vol.5で「逆に少し納めた年もありました」と書いたのが、まさにこの年でした。

「節税になる」と言われて買った物件なのに、納税。きっかけは、その年だけ、不動産とは別の投資(先物取引)で、まとまった利益が出ていたことでした。こうした投資の利益には、給与とは切り離して20.315%の税金がかかります。その年は、この税額のほうが、不動産の赤字で取り戻せるはずだった分を超えてしまい、最終的に差し引きで「納める」側へ転んだのです。

この一件が教えてくれるのは、シンプルなことです。確定申告の結果は、不動産だけを見ていても予想できない。その年の暮らしや、ほかのお金の動きしだいで、簡単にひっくり返る。「節税のはずの年に、むしろ納税」という逆転は、ふつうに起こりうるのです。

では、純粋な不動産の節税はいくらだったのか

ここまで読んで、「じゃあ結局、不動産の節税は得だったの?」と思いますよね。

混ざりものをできるだけ取り除いて、不動産の赤字を給与と相殺できた分だけを、ざっくり見積もると、年あたりおよそ10数万円、5年間でならして約90万円。これが、vol.5でお伝えした数字です。

ただし、ここからさらに引かれるものがあります。確定申告そのものの、手間とコストです。不動産所得の申告は複雑で、私は毎年、税理士にお願いしていました。当然、毎年その費用がかかります。戻ってきたお金の一部は、そのまま申告費用に消えていきます。手元に本当に残った「節税」は、表に並んだ数字よりも、さらに少なくなるのが現実です。

そもそも、庶民の節税に「不動産」は要らなかった

改めて5年分の数字を並べて、いまの私がいちばん強く思うのは、これです。ふつうに働いて暮らす私たちが「節税」をしたいだけなら、何千万円もの借金を背負ってマンションを買う必要は、まったく無かった、ということ。

同じ「節税」でも、もっと安全で、もっと確実な方法が、ちゃんと用意されています。

ひとつは、ふるさと納税。実質2,000円の負担で各地の返礼品を受け取りながら、その分の住民税などが軽くなります。借金もいりません。物件が値下がりする心配もありません。

もうひとつは、iDeCo(個人型確定拠出年金)。掛けた金額が、まるごとその年の所得控除になります。しかもそのお金は、税金が軽くなって終わりではなく、将来の自分のための積み立てとして、ちゃんと手元に残っていきます。

どちらにも共通しているのは、借金ゼロ・毎月の持ち出しゼロ・値下がりリスクゼロだということです。私がワンルームマンション投資でしょい込んだ、5,000万円を超えるローンも、毎月出ていく赤字も、売るときの不安も、ここには何ひとつありません。

同じ「節税」という二文字でも、中身も、安全性も、まるで違いました。順番が逆だったと、いまでも思います。先にふるさと納税やiDeCoを知っていれば、私はあの大きな借金を、そもそも背負わずにすんだはずなのです。

まとめ|「不動産投資は節税」は嘘だったのか、実額が出した答え

5年分の確定申告を1枚に並べて、私がやっと納得できたことが、3つあります。

  1. 還付額は、安定しない。年によって倍ちがうことも、納税になることもある。
  2. 戻ってくる金額は、不動産の節税だけでは決まらない。年収やほかの所得が混ざった「合計」でしかない。
  3. だから、業者の試算書に載っている「年○万円節税」は、いちばん条件のいい1年を、いちばんきれいな形で切り取った数字にすぎない。

「節税になりますよ」という言葉は、ウソではありませんでした。実際、5年で約90万円は戻ってきたのですから。けれど、その90万円のために、私はトータルで約530万円を失いました(vol.1)。そして、その90万円すら、毎年きれいに戻ってきたわけではなく、納める年さえあった――これが、確定申告書を5年分ならべて見えた、いつわらざる現実です。

もしあなたが今、「節税」という言葉とともにワンルームマンション投資をすすめられているなら、ひとつだけお願いがあります。試算書の「年○万円節税」を、そのまま5年分・10年分とかけ算しないでください。現実の還付は、そんなにきれいには続きません。私の5年間が、その何よりの証拠です。


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