賃貸暮らしで車を持つと、毎月の負担は「家賃」だけでは終わりません。そこに駐車場代が上乗せされます。これが、住む場所によっては家計を本当に苦しくします。
私は18歳から賃貸で暮らし、賃貸歴は35年になります。大阪に住んでいた頃は車を持っていて、合計3台を乗り継ぎました。理由は、趣味のサーフィンに自分の好きなタイミングで行きたかったから。車は、当時の私にとって自由そのものでした。
でも、その自由には毎月のコストがついてきます。家賃に加えて、駐車場代。気づけば、車が自分の家計の首を絞めていました。この記事では、私が実際に払った駐車場代のリアルな金額と、上京を機に車を手放した経緯、そして今の暮らし方までを、正直にお伝えします。「賃貸で車を持つべきか」と迷っている方の参考になればうれしいです。
賃貸で車を持つと「家賃+車庫代」の二重払いになる
賃貸で車を持つということは、毎月2つの固定費を払い続けるということです。
ひとつは、住む部屋の家賃。もうひとつが、車を停めておく駐車場代です。持ち家で敷地に車を停められるなら駐車場代はかかりませんが、賃貸でしかも都市部となると、別に駐車場を借りなければなりません。
そして、この駐車場代が決して安くないのです。私の場合、サーフィンという趣味のために車は手放せないものでした。サーフィンは、行きたい時にすぐ動けるかどうかが大きい趣味です。大きなボードを抱えて公共交通で移動するのは現実的ではなく、「自分の車で、好きな時に、好きな場所へ」行ける自由が、何より大事だったのです。
だからこそ、駐車場代がどれだけ高くても「これは趣味のための必要経費」と思い込んでいました。車があること自体が、当時の私の暮らしの前提になっていたのです。
そのために、私は本業のあとに週2〜3回アルバイトをしていました。車を持ち、駐車場代を払い、ガソリンを入れて海へ通う――その暮らしを維持するために、働く時間を増やしていたのです。今振り返れば、車のために身を削っていたとも言えます。それでも当時の私には、車はどうしても必要なものでした。サーフィンに自由に行けることが、それだけ大きな意味を持っていたのです。
だから当時は、駐車場代を「必要な出費」として受け入れていました。でも今、家計の視点で振り返ると、その負担は想像以上に重いものでした。次の章から、実際にいくら払っていたのかをお話しします。
弁天町で月24,000円|駐車場代の重さを実感
大阪の弁天町に住んでいた頃、借りていた駐車場は月24,000円でした。
2階建ての立体駐車場の1階部分で、住んでいたマンションから徒歩1分ほど。場所は便利でしたが、とにかく金額が大きい。家賃に加えてこの24,000円が毎月出ていくわけで、年間にすると約29万円。車両本体の代金やガソリン、保険、税金は別にかかっているのですから、車にまつわる固定費は相当なものでした。
当時は「サーフィンに行くためだから」と自分を納得させていましたが、家賃と駐車場代を合わせた毎月の住居系コストは、ひとり暮らしには確実に重かったと、今では分かります。
しかも駐車場代は、車にあまり乗らない月でも、まるごと出ていきます。私は日中の通勤は電車だったので、平日に車に乗ることはほとんどありませんでした。車を使うのは、休みの日に海へ行くときくらい。つまり、月によってはほとんど動かしていないのに、24,000円は変わらず引き落とされていたのです。「乗っても乗らなくても同じ額」というのが、固定費のいちばん怖いところです。
「車を持つ」というのは、車両代だけの話ではありません。停めておくだけで毎月数万円――この事実を、弁天町の駐車場代で痛感しました。
住之江で16,000円→8,000円|物件付属の駐車場が一番安かった
その後、住之江に引っ越してからは、駐車場代が大きく下がりました。ただし、これには理由があります。
まず、住之江は大阪市の端にあり、市内でも地価がそれほど高くないエリアでした。そのぶん、駐車場代の相場も弁天町より低かったのです。場所が変われば駐車場代の水準そのものが変わる――これが一つ目のポイントです。
住之江に入居するとき、私はアパートの大家さんに「車庫も借りたい」と相談しました。ところが、その物件の駐車場には空きがなく、代わりに大家さんが知り合いの個人で駐車場を貸している方を紹介してくれました。そこが、アパートから徒歩2分ほどの青空駐車場で月16,000円。路面はアスファルトではなく土のままで、決して立派ではありませんでしたが、弁天町の24,000円よりは安くなりました。
そして、しばらく住んだあるとき、住んでいたアパートの駐車場に空きが出たのです。すぐにそちらへ移したところ、料金はなんと月8,000円。2台分しかない小さなスペースでしたが、入居者向けの駐車場だったので、相場よりずっと安かったのです。
ここで私が実感したのは、「住んでいる物件に付属する駐車場が、いちばん安く借りられることが多い」ということです。24,000円から16,000円、そして8,000円へ。同じ私が同じように車を停めているだけなのに、これだけの差が出ました。車を持つなら、部屋を探す段階で「この物件に駐車場は付いているか・付属の駐車場はいくらか」を必ず確認しておくこと。家賃だけ見て決めると、駐車場代で思わぬ差がつきます。
知っておきたい|車庫の契約は、住まいの賃貸より立場が弱い
ここで、FP3級として、そして実際に駐車場を借り続けた経験から、ぜひ知っておいてほしいことがあります。それは、駐車場(車庫)の契約は、住まいの賃貸契約よりも借り手の立場が弱いということです。
住まいの賃貸には「借地借家法」という法律があり、借りている人が手厚く守られています。たとえば家賃の値上げを求められても、正当な理由がなければ応じる必要はありませんし、大家さんの都合だけで一方的に追い出されることもありません(このあたりは別記事 家賃の値上げは拒否できる|借地借家法で「応じない」を選んだFP3級の実体験 に詳しく書いています)。
ところが、駐車場の契約には、この借地借家法が適用されません。駐車場は「建物」ではないため、法律の保護の対象外なのです。これが何を意味するかというと――
- 駐車場代の値上げを求められても、住まいのようには拒否しにくい
- 貸主から「正当な理由」がなくても解約・退去を求められることがある
- 立ち退きを求められても、住まいのように立ち退き料を主張しにくい
つまり、車庫は「貸主の都合で値上げや退去を求められやすい」契約なのです。もし借りている駐車場で「来月から値上げします」「ここは使えなくなります」と言われても、住まいのように断ったり立ち退き料を求めたりするのは難しい。家賃は守られても、車庫は守られにくい――この違いは、車を持つなら知っておいて損はありません。
3台乗り換えて分かった「車を持ち続けるコスト」
大阪で暮らした期間、私は車を合計3台乗り継ぎました。
私が乗っていた車は3台とも中古車で、購入はローンを組んでいました。ここがまず一つ目の出費です。さらに車は、買ったあとも持っているだけで、いくつもの固定費がかかります。ローンの返済、駐車場代、ガソリン代、自動車保険、自動車税、そして車検費用――。乗り換えればそのたびに、また購入費や手続きの費用が発生します。これらを全部足すと、毎月の負担は駐車場代だけでは済みません。
ローンで車を買い、毎月返済しながら、別に駐車場代を払い、さらに保険や税金も払う。そこに住まいの家賃も乗ってくる。こうして書き出してみると、賃貸+車という暮らしが、いかに固定費だらけだったかが分かります。
FP3級の視点で振り返ると、賃貸暮らしで車を持つことは、「家賃」という大きな固定費の上に、「車」というもう一つの大きな固定費を積むことに他なりません。収入が大きく増えない中で固定費が二重になると、家計の余裕はどんどん削られていきます。
もちろん、車が生活や仕事に必須な人もいます。地方では車がないと生活が成り立たない地域もあります。でも私の場合、車は「趣味のための自由」であって、生活の必需品ではありませんでした。その自由に、毎月いくら払っているのか。立ち止まって計算してみるべきだったと、今では思います。
上京を機に車を手放した|「もう要らない」と維持費の重さで決断
転機は、東京への引っ越しでした。
上京することになったとき、私は車を手放す決断をしました。理由は2つです。
ひとつは、東京では車が不要だと判断したこと。東京は電車やバスの路線が網の目のように張り巡らされていて、たいていの場所は公共交通で行けます。大阪以上に「車がなくても暮らせる」街でした。
もうひとつは、維持費の重さです。東京の駐車場代は、大阪よりさらに高いと聞いていました。実際に調べてみると、東京23区の月極駐車場は、区の平均でみると安いエリアで月18,000円前後、高い港区では月47,000円ほどという開きがあります(もちろん同じ区の中でも、立地によって料金は上下します)。都心3区(千代田・中央・港)の平置きだと、月5万円から、場所によっては10万円を超えることも珍しくありません。弁天町ですでに月24,000円を払っていた身としては、東京でこれ以上の駐車場代を払い、車両代や保険まで抱え続けるのは、どう考えても重すぎる。車を持つ意味と、かかるお金が、まったく釣り合わなくなっていたのです。
サーフィンという趣味のために持ち続けていた車でしたが、生活が変わり、車を持つ理由そのものが薄れていました。
正直なところ、手放す前は「車がないと不便になるのでは」という不安も少しありました。長く車のある生活をしてきたので、それが当たり前になっていたのです。でも実際に手放してみると、困ることはほとんどありませんでした。東京は電車で大抵の場所に行けますし、何より毎月の固定費がぐっと軽くなったことで、不便さよりも身軽さの方がずっと勝っていました。「持っていて当たり前」だと思っていたものが、実は無くても暮らせる――そう気づけたのは、大きな発見でした。
まとめ|賃貸で車を持つ前に「総額」を計算する
賃貸で車を持つかどうか迷っているなら、まず毎月かかる総額を、自分の手で計算してみてください。
家賃+駐車場代+ガソリン+保険+税金+車検(月割り)。これを全部足すと、車にまつわる固定費が思っていたより大きいことに気づくはずです。私の場合、駐車場代だけで月24,000円。年間で約29万円が、停めておくだけのお金として消えていました。
そして大事なのは、駐車場代はエリアと物件によって大きく変わるということ。私自身、24,000円から8,000円まで、3倍もの差を経験しました。とくに「住んでいる物件に付属する駐車場」は割安なことが多いので、車を持つなら部屋探しの段階で必ず確認を。賃貸の家賃ばかり見て、駐車場代を見落とさないでください。
私自身は、大阪で長く車のある暮らしをして、上京を機に手放しました。あれだけ「手放せない」と思っていた車でしたが、いざ無くしてみると、困るどころか家計も気持ちも軽くなりました。そして今、東京では使いたい時だけカーリース(カーシェア)を利用する生活に切り替えています。月に数回、必要な時にだけ車に乗る形で、駐車場代も保険も車検も持たずに済み、それで十分に間に合っています。「持つ」のをやめても、車に乗れなくなるわけではないのです。
車は、自由をくれる素晴らしい道具です。でも賃貸暮らしでは、その自由が家計の首を絞めることもある。「持つ」「持たない」「必要な時だけ借りる」――選択肢は一つではありません。 自分の暮らしとお金に合った形を、ぜひ一度考えてみてください。賃貸歴35年で車のある暮らしも無い暮らしも経験した私だからこそ、「持たない」という選択肢も、けっして不便なだけではないとお伝えしたいのです。
車は「持つ」から「必要な時だけ借りる」へ
車を手放した今、私は必要な時だけカーシェアを使っています。実際に利用しているのが「アースカー(earthcar)」。月に数回、買い物や少し遠出したい時に借りるだけなので、駐車場代も保険も車検も気にせず、使った分だけの料金で済みます。車を「持つ」から「必要な時だけ借りる」に変えたことで、家計はずっと軽くなりました。

