賃貸歴35年×FP3級が考える|私が「生涯賃貸」を選んだ理由|35年で2,525万円払って見えたこと

実用ノート vol.2 生涯賃貸という選択 賃貸歴35年×FP3級が35年で2,525万円払って見えた賃貸と持ち家のリアル 不動産

賃貸は気軽だ──そう思いながら18歳から35年、家賃を払い続けてきました。1日あたり数千円の出費は意識にすら上りません。でも、ある日ふと思って計算してみたら、その合計に自分でも驚きました。

「賃貸と持ち家、どっちがお得?」──この問いには、はっきりした正解がありません。家族構成、収入、地域、年齢、価値観、どれも一人ひとり違うからです。だからこの記事は「あなたの正解」を押し付けるものではありません。賃貸歴35年・FP3級保有・ワンルームマンション投資で痛い経験をした私が、なぜ「生涯賃貸」を選んだのか──その思考のプロセスをお伝えします。同じ50代単身の方や、住まいの選択で悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。

結論|私は「生涯賃貸+住み替え+資産形成」を選びました

大事なところを最初にお伝えします。私の選択はシンプルに3つの軸で成り立っています。

  • 生涯賃貸──持ち家を持たず、これからも賃貸で暮らす
  • 住み替え──その時々の自分の環境(仕事・体力・家族・収入)に合わせて柔軟に部屋を変える
  • 資産形成──持ち家を持たない代わりに、コツコツとお金を準備する(積立NISA など)

持ち家には持ち家のメリットがあります。資産になる、自由にリフォームできる、家賃が永遠にかからない、住まいへの愛着が深まる──私もそれは理解しています。それでも、私自身の人生設計には賃貸の方が合っていると判断しました。なぜそう判断したのか、35年の経験と数字を振り返りながら、順番にお話しします。

35年・7軒の家賃累計 約2,525万円

まずは数字から見ていきます。18歳から現在までの35年間で、私が住んだ部屋は7軒。それぞれの家賃と居住期間をまとめると次の通りです。

期間物件月額居住期間累計額
1992北花田・寮10,000円7か月7万円
1992〜1993花園町52,000円10か月52万円
1993〜1996弁天町(前期)66,500円3年239.4万円
1996〜2001弁天町(値下げ後)60,000円5年360万円
2001〜2010住之江(2部屋)56,000円9年604.8万円
2011〜2025立花70,800円14年1,189.4万円
2025〜現在上京2軒目122,000円6か月73.2万円
合計(2026年5月時点)約2,525万円

計算してみて、自分でも驚きました。35年で約2,525万円。立花のアパート14年だけで約1,190万円です。1日あたりに換算すると約2,000円。意識にすら上らない毎日の数千円が、これだけの大金になっていたのです。

「これだけ払うなら、家を買った方が得だったのでは?」──そう思われるかもしれません。実は私自身も、若い頃にこのセリフを何度も聞きました。あとで詳しく書きますが、結論から言うと、私は「家を買った方が得」とは言い切れませんでした。なぜなら、家を買うことには家賃を超えるリスクとコストがあると、自分なりに見えていたからです。

各物件の体験談は、▶︎ 立花14年の暮らし や ▶︎ 上京2軒目の暮らし にまとめています。

立花のベランダ目の前で見た「8,800万円」の建売

2026年2月、立花のアパートを退去してから3か月ほど経った頃、たまたま立花のアパート近くに立ち寄る機会があり、ふと旧居の様子を見に行ってみました。

そこで目にしたのが、立花のベランダ目の前にできた**3階建ての建売住宅**でした。私が退去を決めた直接の理由になった建物です。1階が駐車場で2〜3階が住居、よく住宅街で見るタイプの**ごく一般的な建売**。決して珍しい間取りではありません。

その建売の前には売出し中の看板が立っていました。価格を見て、私は思わず立ち止まりました。

看板に書かれていた価格は

8,800万円

23区の一等地ではない、ごく普通の下町エリア。間取りも平凡な3階建ての建売。それが8,800万円です。

気になって後日Webで確認してみたところ、この物件は約3か月後に8,350万円へ値下げされていました。450万円のダウンです。それでも、まだ買い手はついていません。

看板の8,800万円を見て立ち止まり、値下げ後の8,350万円を見てさらに考えました。値下げしても売れない──これは、東京の不動産価格と購買力のギャップが顕在化している場面でした。私たちが住む街の現実は、ニュースの数字よりずっと身近で、ずっと厳しいのかもしれません。

私が立花に引っ越した2011年〜2012年頃、このエリアの建売住宅は印象として3,000万〜4,000万円台でした。当時もポストにマンションや建売の販売チラシが頻繁に入っていたので、相場観はそれなりに掴んでいたのです。それが14年で約2倍以上に値上がりしている。場所も特別な立地ではないのに、です。

東京の家賃高騰の背景については ▶︎ 東京家賃14年の異常な高騰 にまとめていますが、家賃以上に住宅価格そのものが急上昇していると、現場で実感した瞬間でした。

東京で持ち家を持つということ(私の感覚)

8,800万円の住宅ローンを組むという選択を、私は具体的に想像してみました。仮に頭金を多めに入れて借入7,000万円、35年返済、金利1%程度としても、月々の支払いは約20万円。ボーナス払いを使ったとしても、毎月15万円超の固定支出になります。

これに加えて固定資産税・都市計画税(年間20〜30万円規模)、修繕費の積み立て火災保険・地震保険、駐車場を持つなら駐車場料金、住宅街なら自治会費もかかります。35年で支払う総額は、利息と諸費用を含めると1億円を超える計算になります。

正直、私には現実的な選択ではありませんでした。私が35年で家賃に払ってきた約2,525万円と比べても、ケタが違います。「ローンが終われば自分のもの」という持ち家の魅力は理解できますが、その先に資産価値がどう推移するかは、誰にも保証できません。

もちろん、世帯収入が高い方や共働き夫婦であれば、東京の持ち家は十分に検討できる選択肢です。私はあくまで50代単身という立場での話をしているにすぎません。

東京以外で持ち家を持つということ(私の見方)

では「東京は無理でも、地方なら持ち家を持てるのでは?」という発想はどうでしょうか。これも私なりに考えました。

結論として、東京以外の持ち家は「資産」になりにくいというのが私の見方です。理由は3つあります。

  • 建物(上モノ)は経年で価値が下がる──木造住宅の法定耐用年数は22年で、税務上はその時点で資産価値がほぼゼロになります。実勢価格でも築年数とともに大きく目減りします
  • 土地の値上がりは限定的──23区や横浜など、人口流入が続く一部の都市部を除けば、地方の土地価格は下落傾向です。日本の人口減少・空き家率上昇という大きな流れの中で、これは構造的な問題です
  • 「資産」より「負動産」のリスク──将来、子どもや親族が相続したときに、売れない・貸せない・解体費もかかる、といったケースが増えています。実家問題と呼ばれる社会課題です

もちろん、これは「資産価値」という視点だけの話です。「自分が住む場所を持つ」「家族と過ごす拠点を持つ」という意味では、地方の持ち家にも大きな価値があります。経済的な計算だけで決めるものではありません。

私の場合、生まれ故郷を18歳で離れ、35年間で複数の都市を移動してきた経歴があります。住む場所が固定されることに、自分自身が窮屈さを感じてしまう──そういう性格の問題もあって、地方の持ち家も選択肢に入りませんでした。

若い頃にあった「ローン=家賃」の誘惑シーン

30代の頃、私の周りで「家を買う」流れが一気に押し寄せました。同年代の友人や職場の同僚が結婚し、子どもが生まれ、マイホームを購入する。そんな話題が日常になっていきました。

そんな中で、私もよく言われたのです。

「家賃ってもったいないよ。ローンと家賃って同じくらいだから、買った方が得だよ」

このセリフ、よく聞かれた方も多いのではないでしょうか。確かに月々の支払額だけ見れば、家賃とローンは似た金額になります。でも私には、その先のことが想像できませんでした。

数千万円のローンを組んで、それを30年以上払い続ける未来。途中で転職したら?体調を崩したら?地震や水害で家が損壊したら?そして定年後もまだローンが残っているかもしれない人生。

当時の私には、その先のリスクとコストを背負える自信がありませんでした。だから「買った方が得だよ」と言われても、決断できなかったのです。今振り返ると、この慎重さは私にとって正解だったと思います。

持ち家ローンには躊躇した私が、ワンルームマンションには5,000万円超のローンを組んだ話

ここで、自分の矛盾について正直に書かせてください。

数千万円の住宅ローンに30年ためらってきた私が、40代の終盤、突然ワンルームマンションを2区分購入し、合計5,000万円超のローンを組んだのです。それまで頑なに避けてきた長期ローンを、ある業者の話に乗った瞬間、あっさり組んでしまいました。

業者からの誘い文句はこういうものでした。

  • 節税になります──不動産所得の赤字を給与と損益通算できる、と
  • 老後の年金代わりになります──家賃収入が老後の生活を支える、と
  • 家族に引き継げます──ローン完済後はそのまま遺せる、と
  • 将来、物件価格が上がれば売却益が出ます──都心物件は値上がりする、と

どれも「投資の話」というより「あなたの将来のため」という顔をして語られました。自分の家のローンには警戒していたのに、なぜか「投資物件」と言われると警戒心が薄くなっていたのです。「自分の家じゃないから」「家賃収入で返済できるから」──そう自分に言い聞かせて、契約書にサインしました。

結果から言えば、これら4つの誘い文句は、私の現実とは違うものでした。詳細は別途準備中のワンルームマンション投資失敗シリーズでお伝えしますが、4年間運用したのち、私はこの2物件を手放すことになります。

この痛い経験が、今の私の「生涯賃貸+資産形成」という選択を強くしました。自分の家のローンに慎重だった当時の感覚は、結果的には正しかったのかもしれない──そのことを、私は遅れて学びました。そして、その失敗の手仕舞いを経て、私はFP3級を取得しました。自分の資産・契約・税金まわりをきちんと理解したい──痛い経験があったからこそ生まれた動機でした。今の住まい選びや家計の判断には、失敗から得た経験と勉強で得た知識の両方が支えになっています。

私が「生涯賃貸+住み替え+資産形成」を選んだ理由

ここまでの経験を経て、私はあらためて「生涯賃貸+住み替え+資産形成」という3つの軸を選びました。それぞれの理由をシンプルに整理します。

①生涯賃貸を選んだ理由

賃貸は身軽です。固定資産税も修繕費の積み立ても、地震や水害のリスクも、すべて大家側の負担になります。月々の家賃さえ払えば、想定外の大きな支出が突発的に発生することはありません。50代単身の私にとって、この「金額が読める」という安心感は、想像以上に大きなメリットでした。

②住み替えを選んだ理由

人生は変わります。仕事も、体力も、家族構成も、収入も、健康状態も。その時々の自分の状況に合わせて住む場所を柔軟に変えられるのは、賃貸の最大の強みです。大阪20年→上京のように人生の節目で大きく住む場所を変えてきた私にとって、この自由度はかけがえのない価値でした。持ち家だと、こうはいきません。

③資産形成を選んだ理由

持ち家を持たない代わりに、私は積立NISAなどを活用して、自分のペースで老後資金を準備しています。FP3級の勉強で、長期・分散・低コストでお金を育てる仕組みを学びました。「持ち家を持つ」という1点集中型のリスクではなく、コツコツと分散して自分でコントロールできる形で老後の備えを作る──これが、ワンルーム投資の失敗を経て私がたどり着いた答えです。

賃貸更新時の家計見直しは、固定費削減の絶好のタイミングです。火災保険を自分で選び直すだけで年間1万円前後の節約になることもあります。詳しくは ▶︎ 賃貸の火災保険は管理会社指定じゃなくていい!自分で選んで10,500円安くした実体験 や ▶︎ 賃貸更新時の値上げ通知に応じない交渉術と物件選びの基準 もご覧ください。


賃貸入居時の火災保険、比較していますか?

賃貸物件へ入居する際、火災保険への加入は事実上必須です。不動産会社から勧められる保険にそのまま加入するケースも多いですが、自分で比較検討することで年間数千円〜1万円以上お得になることも。無料で診断できるサービスを活用してみてください。

[PR]

保険スクエアbang!火災保険の無料診断サービス

まとめ|正解はない、自分に合う選択を

「賃貸と持ち家、どちらが正解か」──冒頭にもお伝えした通り、この問いには絶対の答えがありません。家族構成、収入、地域、年齢、価値観、それぞれの人生の事情があるからです。

大事なのは、自分の人生設計に合っているか自分が納得して選んでいるか。流されて選ぶのが一番危険です。私自身、ワンルームマンションを業者に勧められるまま購入して痛い目を見ました。だからこそ、住まいの選択は自分の頭で考えて、自分で決めることが何より大切だと思っています。

私は今、「生涯賃貸+住み替え+資産形成」という3つの軸で、50代単身の住まいと家計を整えています。これは私にとっての答えであって、誰かにとっての答えではありません。あなたにはあなたの最適解があるはずです。この記事が、その選択を考える小さなきっかけになれば嬉しいです。

私の賃貸遍歴シリーズ|18歳から続く実体験

関連記事|実用ノートシリーズ

タイトルとURLをコピーしました