新築ワンルームマンション投資、4年で530万円損失|杉並区+新横浜・FP3級が記す失敗の全体像

4年で530万円損失・新築ワンルームマンション投資の現実|投資失敗vol.1・杉並区+新横浜・元オーナーFP3級が記す失敗の全体像 ワンルーム投資の失敗記録

東京都内と神奈川県内の新築ワンルームマンション、2区分。当時の年収の8.4倍にあたる約5,000万円のローンを組み、35年の事業用ローン契約を背負ったのは2020年のことでした。

それから4年後、私はこの2区分すべてを売却しました。最終的な損失は、節税効果を差し引いてもなお約530万円

普段の生活では家賃を払うのが精一杯の、50代独身FP3級の私が、業者の説明を鵜呑みにし「節税」と「資産性」の言葉で2区分を契約してしまった――その全体像です。

この記事では、勧誘から契約、サブリースの罠、売却決断、本当の損失額まで、書ける限りの事実をお伝えします。今、不動産投資を検討している方への参考になれば幸いです。


信頼していた上司の紹介から始まった

ワンルームマンション投資の話を初めて聞いたのは、今の勤務先で働いて数年が経った頃のことです。声をかけてくれたのは、当時の上司。今でも仲のいい、信頼できる人です。

その上司は、すでに投資用ワンルームマンションを1区分所有していました。「自分も持っているから安心だよ」「担当者が場所のいい物件を紹介してくれたんだ」――そう言われたとき、私の中の警戒は一気に下がりました。会社の中で、信頼している人がすでに同じ商品を持っている。それだけで十分な安心材料に思えてしまったのです。

業者の説明を聞いて、私は東京23区内の新築ワンルームマンションを1区分、契約しました。当時の心境は、不安と確信が半々。それでも「上司もやっているから大丈夫」のほうが勝ったのです。

ここで止まっていれば、よかったのですが。

それからわずか4ヶ月後――新横浜の新築ワンルームマンションも契約してしまいます。今振り返れば、すっかり気が大きくなっていたのだと思います。迷うこともほとんどありませんでした。

2件目の新横浜は、もともと上司が業者から紹介された物件でした。それを「いい物件だから」と私にまわしてくれたうえ、本来上司に入る紹介手数料30万円も譲ってくれたのです。当時の私は、それを素直にありがたいと感じただけでした。なぜそんな仕組みになっているのか――その疑問を持つだけの知識が、私には決定的に足りなかったのです。

引き返せばよかった、と今でも思い返します。あのとき止まっていれば、4年で530万円の損失を背負うことはなかったはずです。


業者から聞いた「資産性」と「節税」の説明

業者の担当者から最初に聞いたセールスフレーズは、今でもはっきり覚えています。「場所が本当にいいので、資産性が高いんです。物件が値上がりしたタイミングで売れば、それだけで利益が出ますよ」――いわゆるキャピタルゲイン狙いの説明でした。

そして次に出てきたのが「節税」の話。担当者は1枚の試算資料を取り出して、テーブルの上に広げます。35年間の空室保証プラン、売買価格、ローン金利、月次の収支試算、節税額の合計――数字がびっしり並んだ書類でした。

4ヶ月後に契約した新横浜のときも、同じパターンの試算書を見せられました。けれど正直にお話しすると、私はその資料の内容をほとんど理解できませんでした。「そうなんだ」としか思えなかった、というのが当時の素直な気持ちです。数字を細かく追うより、担当者の口頭説明を信じるしかなかったのです。

ところが、いまFP3級を取得してから2件目の新横浜の試算書を見直すと、当時は気づけなかった事実が見えてきます(中野富士見町の試算書は紛失)。

試算書には、当時の私の年収である650万円を前提に節税効果が計算されていました。

新横浜物件の月次収支は 1年目で月-5,687円のマイナス。年間に直すと -68,244円の赤字です。

一方、節税効果は初年度9ヶ月分でわずか9,600円。3年目以降も12ヶ月で30,000円程度にすぎません。

つまり、業者が見せてくれた試算書ですら、毎月の赤字を節税効果がまったくカバーできていない計算になっていたのです。年間-68,244円の赤字を、9,600円の節税で穴埋めできる――そんな算数は、どう見ても成り立っていませんでした。

数字より、信頼している上司の存在と、担当者の説明と、自分の理解力不足。この3つが重なって、私はこのワンルームマンション投資の契約に踏み込んでいったのです。


5,000万円ローン、2区分の中身

1区分目は、丸ノ内線の中野富士見町駅から徒歩8分新築ワンルームマンションでした。売買価格は3,350万円

4ヶ月後に契約した2区分目は、新横浜駅から徒歩8分新築ワンルームマンション。売買価格は2,180万円

合計購入価格は5,530万円。頭金として中野富士見町に70万円、新横浜に10万円――合わせて80万円を支払い、残りの5,450万円大手ノンバンクの事業用ローン(期間はそれぞれ35年、変動金利)で賄いました。

当時の年収(650万円)の約8.4倍にあたる借入額です。そんな私でも、事業用ローンを組めば5,000万円超の契約があっさり通ってしまう。それが不動産投資の不思議なところでした。

業者試算よりも、実際のキャッシュフローはさらに悪化していました。新横浜だけで月-7,610円の赤字。中野富士見町と合わせた2区分合計で月-15,890円――年間に直すと約-19万円の持ち出しです。

35年間、毎月この金額を払い続ける契約。それでも私はまだ、この投資に潜む「もう一つの問題」に気づいていませんでした。


サブリース契約の罠と二重構造

「もう一つの問題」――それは、私が契約した「サブリース」が、思っていたものと違っていたという事実です。

サブリース契約は、物件を販売した業者と同じグループの賃貸管理会社と結びました。

グループのサブリース会社が入居者から家賃を集め、そこから手数料を引いた金額をオーナーに振り込む」――それが契約の内容で、私はずっと、施工・販売・賃貸管理がグループ内で完結する「ワンストップで安心」の業者だと信じていました。

手数料が差し引かれた後の保証賃料として、中野富士見町は月¥108,720、新横浜は月¥75,780が私の口座に振り込まれていました。空室の月もこの金額が保証される――それがサブリース契約の安心感、と理解していたのです。

異変に気づいたのは、売却を決めて手続きを進めていたときです。仲介業者から「現在の入居者との賃貸契約書を取り寄せてください」と言われ、書類を請求しました。

届いた契約書を見て、息が止まりました。貸主欄に書かれていたのは、サブリースを契約したグループ会社ではなく、まったく別の不動産会社の名前。物件ごとに、グループ外の業者が間に入っていたのです。

私のサブリースの本当の構造は、こうでした。

オーナー(私)→ 販売会社のグループ → グループ外の別の不動産会社 → 入居者

グループ内で完結していると信じていた仕組みが、実は二段階のサブリース=「二重サブリース」だったのです。

グループのサブリース会社の先にもう一段、別の不動産会社が入って実際の業務をしており、私が契約したグループ会社は間で差額を受け取るだけの中間業者になっていました。

中抜きを数字で見ると、衝撃はさらに大きくなります。中野富士見町の入居者は家賃と共益費で月¥122,000を払っていましたが、私の手元に届く保証賃料は¥108,720。差額月¥13,000以上が、グループのサブリース会社と外部の不動産会社の収益として消えていました。

最後まで、私はこの構造について、業者から一切の説明を受けていませんでした。


我に返った瞬間

売却を決めた瞬間を、私は今でもはっきり覚えています。

転機は、ある日のYouTubeでした。不動産投資の実態を扱うチャンネルを、何気なく開いて見たのです。

動画では、私と同じくらいの規模のローンで23区内のワンルームマンション投資をしていた方が、相談を寄せていました。毎月の赤字、ローン残債の重さ。そしてサブリースは一度組むとなかなか解約させてもらえない、サブリース付きのまま売却すると価格が大きく下がる――そんな業界の現実を、私はそこで初めて知りました。

聞いていて、これは他人事ではないと気づいた瞬間、心臓が冷たくなりました。

その夜、ローン返済予定表を取り出して開きました。最終返済日には、2055年の文字。

35年のローンを、契約当時40代後半だった私が、80代に入っても払い続ける――その事実が、初めて頭の中で具体的な形を持って迫ってきたのです。

絶望、という言葉が大げさでないほどの感覚でした。

その瞬間、私は決めました。売却しよう、と

このまま2区分を持ち続ければ、毎月の赤字も金利上昇も――35年抱え込むことになります。損切り覚悟で売り抜けたほうが、これから先の人生のためにはいい。そう判断したのです。


4年で見えた本当の損失額

売却を決めたのは2023年の後半

2024年2月に仲介業者と専属専任媒介契約を結び、3月に両物件の売買に向けた覚書を締結。4月に新横浜、6月に中野富士見町の決済を済ませて、2区分のオーナーから解放されました。

売却後、確定申告をどう処理すべきか不安になり、契約当初から確定申告でお世話になっていた業者紹介の税理士に電話で相談しました。そこで重い一言を投げかけられたのです。「短期譲渡所得の税率は約40%。減価償却で取得費が下がっている分、譲渡益が出ると大きな税負担になりますが、大丈夫ですか

ここで初めて知ったのは、「節税」のために計上していた減価償却費が、売却時に取得費を引き下げる形で跳ね返ってくる仕組み。

購入価格を下回る額で売却し手出しが発生していても、税務上は譲渡益として課税されうる――業者はこの仕組みを最後まで教えてくれませんでした。

ところが、税理士の警告は奇跡的に現実化しません。

中野富士見町の譲渡損失 約-122万円 と新横浜の譲渡益 約+124万円ほぼピッタリ相殺し、譲渡所得は合計でわずか+2万円。短期譲渡40%の課税はほぼゼロで着地したのです。完全に偶然の結果でした。

税金がほぼゼロだったことと、本当に損をしなかったことは別の話です。

物件価値の下落、4年間のキャッシュフロー赤字、売却諸費用、サブリース解約金――すべてを積み上げ節税効果を差し引いた真の総損失は、約530万円でした。


教訓:50代から考える資産との向き合い方

売却がすべて終わってから約1年後、私はFP3級を取得しました。

きっかけは、両親が鬼籍に入り、本当に頼る人がいなくなったと実感した瞬間でした。何かあった時、自分を守ってくれるのは何か――その問いと向き合った末、ひとつの答えに辿り着いたのです。

「知識とお金は、自分を守る唯一の武器だ」

知識がなかったから、私は5,000万円超のローンを背負ってしまいました。

業者は節税のことしか言わない。出口の税金リスクも、本当の収支も、最後まで教えてくれない――その事実を身をもって学んだあと、自分自身でお金の知識を身につけたいと思ったのです。

50代独身の私にとって、資産との向き合い方の原則は「他人任せにしない」になりました。誰かに勧められた商品を鵜呑みにするのではなく、自分で計算し、自分で判断し、自分で出口まで見届ける。そのために必要なのが正しい知識で、FP3級はそのスタートラインでした。

この4年間の失敗体験を、これから書ける限りの事実として残していきます。同じ苦しみを抱えている方の参考に。今、不動産投資を検討している方の注意喚起に。それが、530万円の損失を意味のあるものに変える、唯一の方法だと思っています。


ワンルームマンション投資失敗シリーズ・続編予告

このvol.1では全体像をお伝えしました。続くvol.2以降では、ひとつひとつのテーマを深く掘り下げていきます。

  • vol.2:信頼関係を逆手に取られた勧誘の構造
  • vol.3:5,000万円超ローンの罠+新築物件の構造(金利・5年ルール・新築プレミアム)
  • vol.4:サブリース契約の正体と二重構造
  • vol.5:「節税」という言葉の裏側にあるリアル
  • vol.6:4年で売り抜けた損切り判断のすべて

※ シリーズは順次公開予定。テーマは執筆過程で追加・調整される可能性があります。

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