新築ワンルームマンション投資、買った瞬間に2〜3割下がる「新築プレミアムの罠」|FP3級が記す(vol.3)

新築ワンルームマンション投資・買った瞬間に2〜3割下がる新築プレミアムの罠|50代の不動産リアルノート ワンルーム投資の失敗記録

vol.1 では4年で約530万円を失った全体像を、vol.2 では上司の紹介から契約までの勧誘構造を振り返りました。

そのvol.2の最後で、私はひとつの疑問を残したままにしていました。2件目の契約のとき、私は紹介手数料として30万円を受け取りました。けれど、その30万円はいったい誰の懐から出ていたのか――当時の私には、それを問うだけの知識がありませんでした。

このvol.3では、その答え合わせをします。鍵になるのは2つです。ひとつは5,000万円超のローンに仕込まれた罠、もうひとつは新築ワンルームが「買った瞬間に値下がりする」構造です。

数字が多めの記事になりますが、どれも私の手元にある契約書・返済予定表の実数です。FP3級の知識で、ローンを組む前に必ず確認してほしいことを、ひとつずつ解きほぐしていきます。


5,000万円超を、年収の8倍以上借りていた

まず、私が背負ったローンの全体像です。

  • 1件目(中野富士見町)の借入:3,280万円
  • 2件目(新横浜)の借入:2,170万円
  • 2件合計:5,450万円

当時の私の年収は約650万円。つまり、年収の約8.4倍を借りていた計算です。しかも住宅として自分が住む家ではなく、人に貸すための投資用ワンルーム2部屋に、です。

返済はどちらも35年・元利均等。毎月の返済額は1件目が約10万5千円、2件目が約7万4千円。合わせて毎月およそ17万9千円が、35年間ずっと出ていく約束でした。

ちなみに、自分が住む家を買う住宅ローンなら、当時は金利が1%を切ることも珍しくありませんでした。投資用のローンは、住宅ローンよりずっと金利が高いのです。同じ「マンションを買うお金」でも、人に貸す前提のローンは、最初から条件が厳しく設定されています。これも、当時の私は知りませんでした。

「家賃で返すから、実質の負担はない」――業者からはそう聞いていました。サブリース契約で毎月の保証賃料が振り込まれるので、たしかに表面上は回っているように見えます。けれど管理費や修繕積立金まで含めると、vol.1で書いたとおり、私の手元では毎月1万5千円ほどの赤字でした。

いま改めて数字を並べると、自分でも信じられません。年収の8倍を超えるお金を、毎月赤字の物件のために借りていたのです。そして当時の私は、そのローンの中身を、ほとんど分かっていませんでした。


借りた直後から、金利は上がっていた

ローンの中身で、最初に私が見落としていたこと。それは金利です。

契約のとき、借入金利はこう説明されていました。

  • 1件目(中野富士見町):年1.800%
  • 2件目(新横浜):年2.150%

ところが、あとから届いた返済予定表を見ると、金利はこう変わっていました。

  • 1件目:年2.300%(+0.5%)
  • 2件目:年2.700%(+0.55%)

借りた直後から、金利は上がっていたのです。

変動金利である以上、金利が定期的に見直される仕組みがあること自体は、私も理解していました。けれど、借りた直後から、しかもこんなに上がるとは思っていなかったのです。見直しがあると知っているのと、実際にこれだけ動くと想像できているのとは、まったく別のことでした。

私がこの上昇にはっきり気づいたのも、ずっと後のことでした。確定申告のとき、税理士に「金利、上がっていますね」と言われて、初めて現実を突きつけられたのです。あのときの、背筋がゾッとした感覚を、いまでも覚えています。

このローンの金利は、みずほ銀行の「長期プライムレート」という基準に連動して、年に2回(4月1日と10月1日)見直される仕組みでした。世の中の金利が動けば、私のローンの金利も動く。それ自体は変動金利の当たり前の仕組みです。

けれど、もうひとつ見逃せないことがありました。同じ年に、同じ私が、同じ会社から借りたのに、2件目のほうが金利の上乗せ幅(スプレッド)が0.35%も高かったのです。基準が同じでも、2件目というだけで条件は悪くなっていました。借りる側の私は、その差にまったく気づいていませんでした。


「5年ルール・125%ルール」は、保護ではなく罠だった

金利が動くと聞くと、「返済額がどんどん上がってしまうのでは」と不安になりますよね。それを和らげるように見えるのが、5年ルール125%ルールです。私の契約書にも、どちらもきちんと書かれていました。当時の私は、その存在を全く知りませんでした

ふたつのルールを、かんたんに説明します。

  • 5年ルール:金利が上がっても、5年間は毎月の返済額を変えない
  • 125%ルール:5年ごとに返済額を見直すとき、増えても前の1.25倍まで

一見、借りる人を守ってくれる優しいルールに見えます。けれど、これがでした。

金利は半年ごとに動いているのに、返済額は5年間そのまま。では上がった金利分はどこへ行くのか――。返済額のうち、元金を減らす分が削られていくのです。

かんたんな例で説明します。たとえば毎月の返済額が10万円で、その内訳が「利息4万円・元金6万円」だったとします。ここで金利が上がって利息が5万円に増えても、返済額は10万円のまま据え置かれます。すると、元金に回るお金は6万円から5万円に減ってしまうのです。払っている額は同じなのに、借金が減るスピードだけが落ちていく――これが5年ルールの正体です。

つまり、毎月同じ額を払っているつもりでも、元金がなかなか減らない。表面上は「支払額が変わらない」と安心しているうちに、借金の本体はじりじりと居座り続けます。

実際、私自身が返済予定表をよく見たとき、元金がいっこうに減っていかない数字に唖然としました。毎月きちんと17万円以上を払い続けているのに、借金の本体はほとんど削れていない。あの表を目にしたときの、足元がすっと冷えるような感覚は、いまも忘れられません。

そして5年後、見直しのタイミングで、最大1.25倍に増えた返済額が一気に降りかかってきます。さらに金利が高くなりすぎると、利息が毎月の返済額を超えてしまい、超えた分は「未払利息」としてあとに繰り越されます。雪だるまのように後ろへ後ろへ積み上がっていく構造です。

5年ルールも125%ルールも、痛みをなくしてくれるわけではありません。痛みを先送りにして、見えなくしているだけ。これを「守ってくれるルール」だと思い込んでいたら、5年後に足元をすくわれます。


早く手放すほど高くつく──遅延損害金と繰上返済手数料

ローンには、「もしも」のときの料金表も用意されていました。これも契約のときには気に留めていなかった部分です。

ひとつめは遅延損害金。返済が遅れたときに、罰金として上乗せされる利息のことです。私の契約では、なんと年14.5%。これは法律の上限(14.6%)ぎりぎりの高さです。

ここで誤解のないように書いておきます。私はサブリース契約だったので、入居者がいてもいなくても保証賃料は振り込まれ、空室で家賃が途切れる心配はありませんでした。ですから遅延損害金は「物件の都合」で発生するものではありません。私自身の返済が、病気や収入の落ち込みなどで滞ったときに発生するものです。

それでも、数字にすると怖さが分かります。仮に1件目の残り約3,280万円の返済が滞れば、年14.5%で年間およそ475万円もの損害金がかかる計算です。ふだんの利息(年2.3%なら年75万円ほど)の6倍以上です。

ふたつめは繰上返済手数料。早めに返したり、売って一括で清算したりするときにかかる手数料です。これが、こういう段階設計になっていました。

  • 借りてから1年以内に返す:残りの2.0%
  • 1年超〜5年以内:1.0%
  • 5年超:0.5%

つまり、早く手放そうとするほど、手数料率が高いのです。失敗に気づいて早く損切りしたい人ほど、多く払わされる仕組みになっていました。私が4年で売ったときの手数料率は、ちょうど1.0%。逃げ道にまで、きっちり料金表が用意されていたのです。


35年で総返済7,515万円・利息だけで2,065万円

ここまでの罠が、35年という長い時間でどれだけの金額になるのか。返済予定表に書かれていた総額を見て、私は言葉を失いました。

  • 1件目(中野富士見町)の総返済予定額:約4,424万円
  • 2件目(新横浜)の総返済予定額:約3,090万円
  • 2件合計の総返済予定額:約7,515万円

借りたのは5,450万円。返すのは約7,515万円。差し引き、利息だけで約2,065万円です。

これに加えて、借りるときの事務手数料や印紙代も、2件合わせて約26万円かかっていました。

最終返済日は2055年。私はそのとき、80代に入る頃です。50歳手前で組んだローンを、80代まで払い続ける計算でした。

「家賃で返すから大丈夫」という言葉を、もう一度思い出してください。サブリースの保証賃料は、契約から3年後を初回として、その後も数年ごとに見直されます。下がる前提のものです。一方で、利息2,065万円は確定した数字です。家賃は下がるかもしれないのに、利息は逃げてくれない。この2,065万円を最終的に負担するのは、業者ではなく私自身でした。


買った瞬間に2〜3割下がる──新築プレミアムの正体

ここで、冒頭の疑問に戻ります。2件目で受け取った紹介手数料30万円は、誰の懐から出ていたのか

答えは、新築プレミアムです。

新築のワンルームマンションの価格には、建物そのものの価値だけでなく、広告費・営業マンの歩合・紹介手数料といった「売るためのコスト」が、たっぷり上乗せされています。業界では、物件価格の3〜4割がこうした販売コストだと言われています。

きれいなパンフレット、モデルルーム、何度も足を運んでくれる営業担当者、そして紹介してくれた人へのお礼――これらにかかるお金は、すべて物件価格の中に含まれています。買い手である私が払った5,530万円の中に、最初から数百万円単位で混ざっていたのです。私が受け取った紹介手数料30万円も、もとをたどれば、この販売コストの中から出ていたお金でした。業者が損をして私に30万円をくれたわけではありません。私が払った物件価格の中から、30万円が私に戻ってきていただけだったのです。

そして、この上乗せ分は、買った瞬間に消えます。新築は、誰かが一度買えば「中古」になります。次に売るときの値段からは、広告費も歩合も紹介手数料も差し引かれる。だから新築ワンルームは、買った瞬間に2〜3割値下がりするのです。

正直に書いておきます。私は、新築が割高なこと自体は、契約前からある程度分かっていました。賃貸で長く暮らしてきたので、新築の部屋は家賃が高めに設定される「新築プレミアム」があることを、肌で知っていたからです(このときの体験は弁天町1Kで家賃を6,500円下げた話に書いています)。

けれど、私が分かっていなかったのはでした。賃貸の新築プレミアムは、家賃が相場より1〜2割ほど高い、という話です。ところが投資物件として「買った瞬間」に消える新築プレミアムは、数百万円単位です。同じ「新築は割高」でも、痛みの大きさがまるで違いました。

実際、私が買った2部屋は、購入額の合計5,530万円に対して、4年後の売却額の合計は5,150万円ほど。物件の値段そのものが、4年で約380万円下がっていました。立地のいい「資産性が高い」と言われた物件でも、新築プレミアムが消えた分の値下がりは、避けられなかったのです。

このvol.3で、私が一番お伝えしたいのはここです。新築ワンルームマンションは、買った瞬間に値下がりする。これは特別な失敗例ではなく、新築という商品の構造そのものなのです。


教訓:ローンを組む前に、出口と総額を計算する

最後に、FP3級として、そして実際に5,000万円超を借りて4年で約530万円を失った当事者として、お伝えしたいことがあります。

ローンを組む前に、必ず2つの数字を自分の手で計算してください。

1. 総返済額――いくら借りて、利息を含めて最終的にいくら返すのか 2. 出口の値段――もし数年後に売ったら、いくらで売れるのか

私の場合、総返済額7,515万円も、新築プレミアムが消えた後の本当の値段も、契約前には一度も計算していませんでした。業者が見せてくれるのは、いつも「うまくいったときの数字」だけです。利息の総額や、売ったときに残るお金は、自分から計算しないと誰も教えてくれません

特に「出口の値段」を知るのに役立つのが、不動産の一括査定です。複数の会社にまとめて査定を依頼すると、いまの物件が現実にいくらで売れるのかが見えてきます。新築プレミアムが消えた後の「本当の値段」を知る、いちばん手っ取り早い方法です。

私自身、2部屋を手放すときも、複数の会社にまとめて査定を出せる一括査定サービスを使いました。5社から査定を取り、現実の数字を突きつけられて、ようやく損切りの決断ができたのです。下で紹介するマンションナビも、同じように一度の入力で複数社の査定を比べられるサービスです。いまワンルームをお持ちで、「うちの物件は今いくらなのか」が気になる方は、一度査定に出してみることをおすすめします。

数字は、嘘をつきません。買う前に、そして手放すか迷ったときに、出口の数字をどうか見てください。あのときの私に、いちばん伝えたいことです。


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ワンルームマンション投資失敗シリーズ・続編予告

このvol.3では、ローンの罠と新築物件の構造を数字で振り返りました。続編では、さらに別の角度から掘り下げていきます。

  • vol.4:サブリース契約の正体と二重構造
  • vol.5:「節税」という言葉の裏側にあるリアル
  • vol.6:4年で売り抜けた損切り判断のすべて
  • vol.7以降:売却時に初めて分かった問題(二重サブリースの発覚・出口の税金など)

※ シリーズは順次公開予定。テーマは執筆過程で追加・調整される可能性があります。


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