マンションを売ったら、翌年には確定申告が待っています。
私は2024年に、投資用の新築ワンルームマンションを2部屋まとめて売りました。そして翌2025年の春、これまでとはまったく違う確定申告を経験しました。
最初は自分で申告することも考えました。けれど、進めるうちに「これは無理だ」と思い、税理士にお願いしています。
先に結果をお伝えします。
- 申告は税理士に依頼し、費用は137,500円(販売会社から紹介された税理士の特別価格。相場より安い金額だと認識しています)
- 2部屋の譲渡所得は、1部屋が損、1部屋が益で、合計は+20,914円
- その年の確定申告全体では、所得税が204,760円戻ってきた
この記事では、売った翌年に私が実際にしたことを、順番に書いていきます。何が難しかったのか、何を用意したのか、いくらかかったのか。これから売る方の段取りの参考になればうれしいです。
マンションを売った翌年、確定申告は必要?
最初に、多くの方が気になる「そもそも申告がいるのか」から整理しておきます。
土地や建物を売ったときの利益(譲渡所得)は、給与などとは分けて計算し、税金がかかります。計算のしかたは、国税庁の説明では次のとおりです。
譲渡所得 = 売った金額 −(取得費 + 譲渡費用)
- 取得費:買ったときの代金など。建物の分は、持っていたあいだの減価償却費を差し引いた金額になります
- 譲渡費用:仲介手数料や売買契約書の印紙代など、売るために直接かかった費用です
この計算で利益が出れば、原則として確定申告が必要です。会社員の場合でも、給与以外の所得が20万円を超えるなら申告しなければなりません。
一方で、損しか出なかった場合は税金がかからないため、売却について申告しなくてよいケースもあります。ただし、自分の住まいを売ったときの特例を使う場合など、損でも申告が必要になることがあります。迷ったら、税務署か税理士に確認するのが確実です。
もうひとつ大事なのが、投資用の物件を売って出た損は、給与など他の所得と相殺できないことです。一方で、同じ年に売った土地や建物どうしなら、損と益を差し引くことができます。私の2部屋は、まさにこの形になりました。
私のケース:投資用ワンルームマンション2部屋を2024年に売却
ここからは、私自身の話です。
私が持っていたのは、2020年に買った新築ワンルームマンション2部屋です。中野富士見町と新横浜の物件で、どちらも4年ほどで手放しました。2024年3月に2部屋の売買契約を結び、同じ年のうちに引き渡しまで終えています。
どちらも、売った年の1月1日の時点で、持っていた期間が5年以下でした。そのため、税金の上では2部屋とも「短期譲渡所得」になります。
短期譲渡所得の税率は、所得税30%と住民税9%に復興特別所得税を加えて、合わせて約40%です。5年を超えて持っていた場合の約20%と比べると、およそ倍になります。
利益が出れば、その約4割が税金になる。売った時点で、私が置かれていたのはそういう状況でした。
→ 売却そのものの経緯は:5,450万円のローンを手放した日(vol.6)
自分で申告しようとして、無理だと思った4つのところ
そんな状況でしたが、私は最初、売却の申告を自分でできないかと考えました。
ところが、売却の申告は、毎年の申告とはまったく別物でした。調べながら進めるうちに、次の4つのところで手が止まりました。
- 譲渡所得の内訳書:国税庁の決まった様式で、4ページあります。物件ごとに、売った金額や買った金額、費用を細かく書き分ける必要がありました
- 取得費の計算:買った値段をそのまま書くのではなく、土地と建物に分けたうえで、建物の分から4年分の減価償却費を差し引かなければなりません
- 2部屋分の計算:同じ計算を、条件の違う2部屋でそれぞれ行い、最後に損と益を合わせます。1部屋でも大変なのに、それが2つありました
- 売却した年の青色申告決算書:家賃収入の申告も、売った年だけは扱いが変わります。たとえば、売った年の減価償却費は、決算書ではなく譲渡の計算のほうで処理されていました
一つひとつは調べれば分かるのかもしれません。けれど、間違えれば税金が変わります。しかも短期譲渡で、税率は約4割です。
ここは自力でやるところではない。そう判断して、毎年お願いしていた税理士に依頼しました。
税理士に依頼:費用137,500円の内訳
最初にお断りしておくと、ここに書く金額は一般的な相場ではありません。
依頼したのは、物件を買ったときに販売会社から紹介され、それ以来毎年の申告をお願いしていた税理士です。料金はもともと特別な設定で、私の認識では、譲渡所得の申告を税理士に頼む場合の相場よりかなり安い金額でした。その前提で読んでください。
売却した年の報酬は、137,500円でした。内訳はこうです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 確定申告の基本料金 | 25,000円 |
| 賃貸物件の譲渡申告(1件50,000円×2件) | 100,000円 |
| 消費税 | 12,500円 |
| 合計 | 137,500円 |
前の年は27,500円だったので、およそ5倍です。増えた分のほとんどは、2部屋分の譲渡の申告でした。
それでも、金額だけを見たときは高いと感じました。特別価格でもこの金額です。一般的な料金なら、さらに高くなっていたと思います。
売却にかかったお金というと、仲介手数料に目が行きがちです。けれど実際には、翌年の申告にもこれだけの費用がかかりました。
→ 仲介手数料など売却時の費用は:マンション売却の仲介手数料はいくら?2戸で150万円払った実額
必要書類:私が税理士に送ったもの
依頼を決めると、税理士から送ってほしい書類の案内がありました。私が用意したのは、大きく分けて2種類です。
売却に関係する書類(税理士から送るよう頼まれたもの)
- 売買契約書(売ったときのもの)
- 仲介手数料などの精算書
- 購入したときの契約書
毎年の申告で使う書類
- 源泉徴収票
- ふるさと納税の領収書
- 証券会社の年間取引報告書
- 医療費控除のまとめ(自分でExcelに整理したもの)
売却の申告で欠かせないのは、最初の3つです。特に購入したときの契約書は、売るときにはもう手元から遠くなっている書類かもしれません。取得費の計算に使うので、4年前に買ったときの書類も必要になりました。
これから売る方は、売買契約書と精算書に加えて、買ったときの契約書がどこにあるかを、先に確かめておくと安心です。
申告のスケジュール:2月に依頼して、3月6日に完了
書類の準備と並行して、申告の日程も決まっていきました。流れはこうです。
- 2024年中:2部屋の売却と引き渡しが完了
- 2025年2月:税理士に電話で申告を依頼。案内に沿って書類を送付
- 2025年3月6日:税理士が電子申告(e-Tax)で提出し、完了
確定申告の期間は、原則として売った翌年の2月16日から3月15日までです。私の場合は、2月に依頼して、期限の少し前に終わった形でした。
依頼の電話をしたとき、税理士から「短期売却の税率と、減価償却を加味した最終的な税率が出ますが、大丈夫ですか」と念押しされました。損をして売ったつもりの私は、その意味がすぐには分かりませんでした。このときの話は、vol.7にくわしく書いています。
→ 「節税」の代償は売却時に来た・減価償却の答え合わせ(vol.7)
結果:2部屋の損と益が、ほぼぴったり相殺された
税理士の念押しを受けて迎えた申告の結果が、次の表です。譲渡所得の内訳書に書かれた数字をもとにしています。
| 項目 | 中野富士見町 | 新横浜 |
|---|---|---|
| ①売った金額(売買代金+固定資産税などの精算金) | 約3,003万円 | 約2,153万円 |
| 購入代金 | 33,500,000円 | 21,800,000円 |
| 建物の減価償却費(4年分) | 3,245,873円 | 2,016,228円 |
| ②取得費(購入代金−減価償却費) | 30,254,127円 | 19,783,772円 |
| ③譲渡費用(仲介手数料+印紙代) | 1,005,000円 | 505,000円 |
| 譲渡所得(①−②−③) | △1,224,417円(損) | +1,245,331円(益) |
売った金額には、売買代金のほかに、買主から受け取った固定資産税などの精算金も含めます。私の場合は1部屋あたり約3万円台でした。見落としやすいところなので、自分で計算する方は気をつけてください。
中野富士見町は、物件の値下がりが大きく、減価償却を差し引いた取得費にも売値が届きませんでした。反対に新横浜は、減価償却で取得費が下がっていたぶん、税金の上では利益が出ています。
2部屋を合わせると、+20,914円。損と益が、ほぼぴったり打ち消し合いました。
そして、その年の確定申告全体では、所得税が204,760円戻ってきました。譲渡所得の税金を別に納めたわけではなく、家賃収入の赤字や給与、控除などとまとめて計算した結果として、還付になった形です。
ただ、これは運がよかっただけです。もし新横浜の1部屋しか持っていなかったら、約124万円の利益に約4割の税金がかかっていました。
それに、「税金の上でほぼゼロ」は「損をしなかった」という意味ではありません。私はこの2部屋で、最終的に約530万円を失っています。
→ 5年分の申告でいくら戻ったかは:「不動産投資は節税」は嘘?確定申告5年分の還付額で検証
申告のあとに来たもの:消費税の課税事業者
これで本当に終わった。申告を終えた私は、そう思っていました。
ところが同じ2025年3月、今度は消費税の話が届きます。2部屋を売ったことで、2年後に消費税の課税事業者になる、というものでした。家賃は消費税がかからないのに、なぜそうなるのか。この話は別の記事にまとめています。
まとめ:売る前に、翌年の申告まで見積もっておく
- マンションを売って利益が出たら、翌年に確定申告が必要。投資用の損は給与と相殺できないが、同じ年に売った土地・建物どうしなら損と益を差し引ける
- 売却の申告は、毎年の申告とは別物。私は内訳書、取得費、2部屋分の計算、売却年の決算書で手が止まり、税理士に依頼した
- 費用は137,500円(販売会社経由の特別価格で、前年の約5倍)。必要書類は、売買契約書・精算書・購入時の契約書と、毎年の書類
- 結果は2部屋で損と益がほぼ相殺。ただしそれは偶然で、1部屋だけなら約4割の税金がかかっていた
売るときに見積もるのは、売値と仲介手数料だけではありません。翌年の申告の手間と費用、そして税金まで含めて、はじめて「売ったら手元にいくら残るか」が分かります。
私はそれを、売り終わってから知りました。これから売る方は、売る前にここまで見ておいてください。
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