新築ワンルームマンション投資で、私は4年間に約530万円を失いました。
だから、これから買おうか迷っている方には、はっきりお伝えします。「新築」の物件を、「ローン」で、「節税」を目的に買うのなら、やめておいてください。
私はこの3つをすべてそろえて、2020年に2部屋を買いました。毎月の赤字を払い続け、2024年に損切りして手放しています。
この記事では、私が「やめとけ」と言える理由を7つ、実際の契約書と確定申告書の数字でお伝えします。業者の試算表には載っていない、買ったあとの数字です。
私がワンルームマンション投資を「やめとけ」と言う3つの条件
最初に、この記事の線引きをお伝えしておきます。
私が「やめとけ」と言えるのは、自分が実際に経験した買い方についてだけです。
- 新築のワンルームマンションを
- 自己資金をほとんど入れずにローンで
- 「節税になる」という説明を信じて買う
この3つがそろったケースです。
中古物件や現金での購入、不動産投資そのものについては、私は経験していないので、良い悪いを語ることはしません。
そのかわり、この3つがそろったときに何が起きるのかは、すべて自分の数字でお見せできます。
理由1:家賃が入っても、毎月お金が出ていく
ワンルームマンション投資は「家賃収入でローンを返していく」と説明されます。
けれど私の場合、家賃収入からローン返済などの支払いを差し引くと、2部屋合計で毎月約15,890円の赤字でした。年間にすると約19万円です。
家賃は入っているのに、私の口座からは毎月お金が出ていく。これが、持っているあいだずっと続きました。
実は、業者が見せてくれた試算書の時点で、すでに毎月赤字の数字になっていました。それでも当時の私は「節税で取り戻せる」と思い込んでいたのです。
→ 詳しくは:新築ワンルームマンション投資、4年で530万円損失(vol.1)
理由2:新築は、買った瞬間に値下がりする
新築のワンルームマンションには「新築プレミアム」が乗っています。買った瞬間に2〜3割値下がりするといわれる部分です。
私が買った2部屋は、購入額の合計が5,530万円。4年後の売却額は合計5,150万円で、380万円値下がりしていました。
「立地がいいから資産性が高い」と言われた物件でも、この値下がりは避けられませんでした。
しかもローンは5,450万円、当時の年収の8.4倍です。35年ローンの総返済額は7,515万円、そのうち利息だけで2,065万円になる計算でした。
この総返済額を、私は契約前に一度も計算していませんでした。
→ 詳しくは:買った瞬間に2〜3割下がる「新築プレミアムの罠」(vol.3)
理由3:「節税」で戻ったのは約90万円、失ったのは約530万円
営業トークの中心は「節税になります」でした。
実際に戻ってきた税金は、確定申告の還付と住民税の軽減を合わせて約90万円です。そのあいだも毎月の赤字は続き、最終的な損失は約530万円になりました。
530万円を失って、90万円が戻る。私にとっての「節税」は、これが答えでした。
もうひとつ、契約前に誰も教えてくれなかったことがあります。減価償却で税金を減らした分は、売却のときに税金としてかかってくるのです。買った値段より安く売り、しかも自分のお金を持ち出していても、税金の計算上は利益が出たことになる場合があります。
入口の節税は説明されても、出口の税金は説明されませんでした。
→ 詳しくは:節税は本当か・4年で「90万円」の現実(vol.5)/「節税」の代償は売却時に来た(vol.7)/確定申告5年分の還付額で検証
理由4:「家賃保証」の中身は、契約書の条文にしか書いていない
「サブリース契約があるので、空室になっても家賃は私たちが保証して振り込みますよ」。
この一言で、私の中から空室の不安は消えました。
ところが売却の準備を始めたとき、不動産会社から「この部屋は転貸されていますよ」と言われました。契約書を取り寄せてみると、私の知らない会社が部屋を貸していました。いわゆる「二重サブリース」です。
条文を読むと、又貸しのさらに又貸しを認めていて、その中身は「開示しない」と書かれていました。自分の部屋なのに、転貸の中身をオーナーの私が知ることはできない仕組みだったのです。
「家賃保証」という言葉だけで安心してはいけませんでした。中身は、契約書の条文の中にしか書いていません。
→ 詳しくは:私の部屋は二重サブリースだった(vol.4)/契約書2通の条文を全公開(vol.4続編)
理由5:売れても、損が確定するだけ
「いざとなったら売ればいい」と思っている方もいるかもしれません。
実際に売ってみると、こうなりました。
- 売却額:2部屋合計5,150万円(購入額から380万円の値下がり)
- 仲介手数料:約150万円
- 決済の日に、自分の口座から約129万円を持ち出してローンを完済
値下がりの380万円と仲介手数料の150万円で、損失は約530万円です。
売れたことで、毎月の赤字からは解放されました。けれど、それは損が増えるのを止めただけで、取り戻せたわけではありません。
→ 詳しくは:5,450万円のローンを手放した日(vol.6)/売却にかかった仲介手数料150万円の話
理由6:勧誘は、いちばん信頼している人から来る
ワンルームマンション投資の勧誘というと、知らない番号からの営業電話を思い浮かべるかもしれません。
私の場合は違いました。話を持ってきたのは、社内でいちばん信頼していた上司です。上司自身も同じ販売会社で物件を持っていました。
業者は私の出張先まで来て、35年分の収支試算表を広げました。隣には上司がいます。私はその場で仮申込書にサインしました。
契約の前に、物件を見に行くことはありませんでした。Googleマップで場所を確かめただけです。
1部屋目は、売却するまでの4年間、一度も自分の目で見ていません。2部屋目を見たのは、買ってから2年ほどたったころでした。それも物件を確かめるためではなく、仕事の用事でちょうど近くまで行ったので、ついでに寄っただけです。
そして1件目の契約から4か月後、上司から2件目の話が来ました。「いい物件だから譲ろうと思って」。本来は上司が受け取るはずだった紹介料30万円も、私に譲ってくれるといいます。
うれしくて、ありがたくて、2件目は1件目よりも速く契約が進みました。
人を信じた瞬間に、私は物件を見る目を止めてしまっていたのです。
→ 詳しくは:上司の紹介から|勧誘構造を振り返る(vol.2)
理由7:誰にも話さずに買うと、止めてくれる人がいない
この記事を書くにあたって、改めて思い返したことがあります。
契約の前に、家族や友人から「やめとけ」と言われたことは、一度もありませんでした。
止められなかったのではありません。そもそも私は、買ったことを誰にも話していなかったのです。
理由は3つありました。
- お金の話を人とするのが、もともと好きではなかった
- 「お金に余裕がある人」と見られたくなかった
- あれこれ聞かれたり、周りで話題にされたりするのが嫌だった
どれも、いまでも分かる気持ちです。けれど結果として、私の周りには、契約前に「ちょっと待って」と言ってくれる人が一人もいませんでした。
判断に関わったのは、業者と上司と私だけでした。
もしいま迷っているなら、契約の前に一人だけでいいので、利害関係のない人に話してみてください。言いにくいお金の話だからこそ、外からの一言が判断を止めてくれることがあります。
いま勧誘されたら、私は説明を聞く前に断ります
もし今日、同じ話を持ちかけられたら、私は説明を聞く前に、その場で断ります。
当時の私は、上司から話を聞いた時点で「ぜひお願いします」と返事をしていました。投資の中身を一つも聞かないうちの返事です。そこから先は、説明を受け、出張先で試算表を見て、仮申込書にサインするまで、立ち止まる場面がありませんでした。
それでも、もう話を聞いてしまった方は、契約の前に次の2つの数字だけは自分で計算してください。
- 総返済額:借りる金額と金利から、35年間で払う合計はいくらか
- いま売ったらいくらか:買った直後に売るとしたら、いくらで売れるのか
私はこの2つを、どちらも計算せずに契約しました。計算していれば、答えはそこで出ていたはずです。
なお、ワンルームマンション投資でよく聞く「年金代わりになる」「生命保険の代わりになる」という話については、別の記事でくわしく書く予定です。
すでに持っていて不安な方へ
すでに新築ワンルームマンションを持っていて、この記事を読みながら不安になった方もいるかもしれません。
まずは「いま売ったらいくらか」を知ることから始めてください。私は複数社の査定額を並べて、ようやく現実の数字と向き合えました。
まとめ:新築ワンルームマンション投資は、3つの条件がそろったらやめておく
- 新築ワンルームマンションを、ローンで、節税目的で買うのはやめておく
- 理由は7つ:毎月の赤字/買った瞬間の値下がり/節税の実態/サブリースの中身/売っても損が確定する/信頼している人からの勧誘/誰にも話さないと止める人がいない
- 迷ったら、説明を聞く前に断る。聞いてしまったら「総返済額」と「いま売ったらいくらか」を計算する
私の530万円は戻ってきません。それでも、この数字が誰かの「やめておこう」につながるなら、書き残した意味があると思っています。
上司からの紹介に始まり、売却、そして立ち直るまでの全記録は、こちらにまとめています。
