2026年6月、ABEMA Prime(アベプラ)という番組に出演しました。テーマは「独身でマイホーム購入はアリ?ナシ?」。私は、独身・生涯賃貸派の当事者として、スタジオに呼んでいただきました。
ただ、生放送はとにかく時間が足りません。言いたかったことの半分も言えないまま終わってしまったので、ここで改めて、50代・独身・賃貸派としての本音を書いておきたいと思います。
「このまま賃貸でいいのか」「今からでも家を買っておくべきか」。同じように迷っている、おひとりさまの方の判断材料になればうれしいです。
番組のテーマと、私の立場
番組の問いは、とてもシンプルでした。「独身で、マイホームを買うのはアリかナシか」。
スタジオには、持ち家・資産形成に詳しい不動産コンサルタントの沖有人さんや、MCのひろゆきさんをはじめ、立場の違う方々が並んでいました。そのなかで私は、ただ一人「独身・賃貸派」として座っていました。
番組のやり取りをそのまま再現することはしませんが、ここからは、私がどんなことを考えてあの席に座っていたのか、賃貸派の本音として書いていきます。
50代独身の私が「賃貸」を選ぶ理由
家に縛られたくない。身軽でいたい
私が賃貸を選ぶいちばん大きな理由は、はっきりしています。「家」という一つの場所に、自分を縛りつけたくないからです。
私はこれまで、今住んでいる部屋を含めて7回、引っ越してきました。西日本の田舎で生まれ、若いころは大阪で長く暮らし、東京に出てきてからは15年近く。住む場所は、そのときどきの暮らしに合わせて、ずいぶん変わってきました。
そして正直に言うと、この先もずっと東京に住み続けるつもりはありません。気持ちや環境が変われば、また別の土地で暮らしているかもしれない。そう思える自由が、私にはとても大切なのです。
家を買うということは、その土地に深く根を下ろすということでもあります。それが幸せな人ももちろんいます。でも私にとっては、「いつでも動ける身軽さ」を手放すことのほうが、ずっと怖い。これが、私の出発点です。
住む家にこだわりはない。でも不動産は「投資」としてなら持ちたい
ここが、番組でいちばん伝えたかったところです。
私は、自分が「住む」家には、ほとんどこだわりがありません。きれいで、安心して眠れて、無理のない家賃なら、それで十分。住まいに大きなお金をかけるくらいなら、その分、身軽さや自由にあてたいタイプです。
ただ——不動産そのものが嫌いなわけではないんです。むしろ「資産価値のある不動産なら、持ちたい」とさえ思っています。
私が思い描いているのは、こういう形です。自分自身は賃貸で身軽に暮らす。そのうえで、不動産は「住むため」ではなく「投資のため」に持つ。住まいと資産を、はっきり分けて考える——いわば、賃貸と不動産投資のハイブリッドです。
ここで正直に書いておかなければなりません。私はかつて、新築ワンルームマンション投資で大きく失敗し、2つの物件をどちらも手放した経験があります。その全記録は、別のシリーズに正直に書いてきました。
それでもなお「不動産は投資としてなら持ちたい」と思えるのは、あの失敗から、「住むための持ち家」と「投資のための不動産」をごちゃ混ぜにしてはいけない、と痛いほど学んだからです。自分が住む家は、資産性ではなく身軽さで選ぶ。不動産を持つなら、それはあくまで投資として、冷静に見極める。この線引きこそが、私なりの答えです。
なお、「生涯賃貸」という生き方そのものについては、35年間賃貸で暮らしてきた私が「生涯賃貸」を選んだ理由でも詳しく書いています。あわせて読んでいただけたらうれしいです。
番組で突きつけられた「賃貸の老後リスク」
ここまで読むと、賃貸派は気楽でいいな、と思われるかもしれません。でも番組では、賃貸派の私にとって耳の痛い指摘も、たくさん突きつけられました。
特に、不動産コンサルタントの沖有人さんから番組で出ていたのは、こんな指摘でした。
– 高齢になると、賃貸は借りにくくなる。年を取ってからの住まい探しは、若いころのようにはいかない
– 公的な受け皿であるURも、実際には空きが少なく、思うように入れるとは限らない
– 単身の高齢者は、万一のことを心配する大家さんから、敬遠されやすい
– そして、定年後の人生は、これからどんどん長くなっていく
どれも、賃貸派がいちばん向き合いたくない部分です。私自身、ふだんは見ないふりをしてしまいがちな話でもあります。
この「高齢になると借りにくい」という現実は、私も別の記事で正面から取り上げました。具体的な備えについては、50代から備える「賃貸が借りられない」問題にまとめています。また、年金と家賃が老後の家計でどうぶつかるのかは、年金月のリアルと50代単身の老後設計で掘り下げました。本記事では数字には踏み込みませんが、興味のある方はこちらをどうぞ。
それでも私が出した答え
正直に打ち明けると、私はこの老後リスクを、まだそこまで深刻には考えていません。番組でも、そう正直にお話ししました。
理由は、選択肢が一つではないと思っているからです。年を取って一般の賃貸が借りにくくなっても、URや高齢者向けの住宅という道はあります。それでも難しくなれば、老人ホームに移るという選択肢もある。状況が変われば、そのときの自分に合う場所へ、また住み替えればいい。そう考えています。
楽観的すぎる、と言われるかもしれません。でも、起きるかどうか分からない不安のために、今の身軽さを手放してしまうことのほうが、私にはもったいなく感じられるのです。
ただ、番組を通じて、強く心に残ったことが一つあります。それは——「正解は人それぞれ。大事なのは、”なんとなく”で決めないこと」だということです。
賃貸も持ち家も、それぞれにメリットとリスクがあります。怖いのは、どちらかを選ぶことではなく、深く考えないまま「みんなが買っているから」「なんとなく不安だから」で流されてしまうこと。自分はどう生きたいのか。そこから逆算して住まいを選べば、賃貸でも持ち家でも、それは自分の答えになります。
ちなみに番組では、結婚や恋愛の話にもなりました。私は「妥協してまで結婚したいとは思わないので、独身でいい」とお話ししました。もしかしたらこの先、持ち家を持つ人と一緒になる日が来るかもしれません。それはそれで、そのとき考えればいい。司会の方からは「身軽であることを、とても大事にされているんですね」とまとめていただきました。まさに、その通りなのだと思います。
持ち家が向く人・賃貸が向く人
番組でのいろいろな立場のお話も踏まえて、「どんな人に持ち家・賃貸が向くのか」を、私なりに整理してみます。
| 持ち家が向く人 | 賃貸が向く人 |
|---|---|
| 住む場所と暮らしを、長く一か所に定めたい | 場所に縛られず、身軽に動きたい |
| 家族がいて、生活の拠点がはっきりしている | 単身で、環境の変化に合わせて動きたい |
| 目的を持って、資産性のある物件を選べる | 住まいより、自由や時間にお金を使いたい |
| ローンや維持・管理の責任を引き受けられる | 維持・管理の手間からは自由でいたい |
番組では、ひろゆきさんが「お金と目的がある人は買えばいい。問題なのは、目的もないまま、資産価値の下がっていく物件をローンで買ってしまう人だ」という趣旨のお話をされていました。これは賃貸派・持ち家派を問わず、本当に大事な視点だと思います。
ほかにも、里崎智也さんが番組で「収入が不安定な職業だと、そもそもローンが通りにくい」と現実的な話をされていたり、パックンさんが「日本人は建物そのものの価値を低く見積もりすぎている。持ち家に縛られず住み替えていく生き方も幸せだ」という考え方を示されていたりしました。立場が違うからこそ、どの言葉も考えるヒントになりました。
そして、番組を通じてもう一つ、強く実感したことがあります。それは、安定した職業や勤務先といった「立場」が、ローン審査だけでなく、賃貸の入居審査でも、思っている以上に大きな意味を持つということです。収入が安定していると見なされれば、家を買うにも借りるにも有利に働きます。逆に、収入の波が大きい働き方だと、ローンも賃貸も、審査のハードルは上がりやすい。これは持ち家派・賃貸派のどちらにとっても、見落とせない現実だと思いました。賃貸の入居審査が実際に何を見ているのかは、保証会社の審査は何を見ている?に、私自身の体験としてまとめています。
番組で共演した、持ち家・資産形成派の沖有人さんの考えを、もっとじっくり知りたい方もいるかもしれません。そんな方には、沖さんの著書が参考になります。データにもとづいたマンション選びを、図解でわかりやすく解説した一冊です。賃貸派の私とは立場が違いますが、反対側の視点を知っておくことは、自分の選択を見直すうえできっと役に立ちます。
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まとめ|”なんとなく”で決めないために
賃貸か持ち家か。この問いに、すべての人に当てはまる唯一の正解はありません。
大事なのは、メリットだけを見て飛びつくのでも、不安だけを見て立ちすくむのでもなく、「自分はどう生きたいか」から考えること。そのうえで決めたなら、賃貸でも持ち家でも、それは胸を張れる選択になります。
私は、身軽さを選びました。自分が住む家は賃貸で、不動産はもし持つなら投資として。失敗も経験したうえでの、今のところの私の答えです。これから先、環境が変われば、また考えが変わるかもしれません。それでいいのだと思っています。
生放送のなかでは伝えきれなかった本音を、こうしてここにまとめました。賃貸か持ち家か、答えは人それぞれですが、この記事が、あなたが自分の住まいをじっくり考えるきっかけになればうれしいです。
(感想や「うちはこうしている」というお話があれば、X〔@kumiko_fudosan〕でも気軽に教えてください。)
